待ちに待ったDesertX納車!ファーストインプレッション

昨日、念願のDucati DesertXが納車されました!
昨年10月にディーラーで一目惚れし、誰にも連れて行かれないままのその車両を今年6月に契約。
家庭の諸事情で間が空きましたが、出会いからほぼ一年越しにようやく納車までこぎ着けました。

ディーラーから自宅まで初乗りしてきたので、忘れない内に第一印象を書いておきます。
ただし慣らし運転のため5,000rpm以上は回さないようにしているので、エンジン性能などについては後日改めて記事にしたいと思います。

見た目と裏腹に、とにかく軽い

まず、走り出してすぐに感じたのが軽さ。
乗る前の取り回しや、車体を垂直に起こす時にもすでに感じていたのですが、走り出してみて気のせいではないと確信しました。
もちろん、車重が乾燥202kg、装備223kgあるので、質量的には軽くはありません。
なのに軽く感じるのは、マスの集中化、高い位置にあるハンドル、足回りのジオメトリーなどが影響しているのだと思います。
大柄な車体から来る意外性もそうさせている一因かもしれません。

ハンドリングが素直で軽快

軽さにも関連するのですが、切り返しや倒し込みがとてもやりやすいです。
とても900cc超えのバイクとは思えないぐらい軽快で、ハンドルや荷重の入力に対して、過不足なくニュートラルにバンクしていきます。
かといって直進安定性が低い訳でもなく、よく動くサスと相まって速度を上げても安心感があります。

このさじ加減は、セルフステアリング特性で大きく変わるので、キャスター角やトレール量が、自分の体格とライディングにぴったり合っていると感じました。
それらのジオメトリーだけでなく、経験上ステアリングダンパーもかなり影響を与えますし、もしハンドリングが自分には合わないと思った方は、ぜひ一度ステダンを外してみてください。
それでいい方向に変化があれば、調整式のステダンに交換してみることをおすすめします。

デカいタンクがしっくりくる

DesertXを初めて見た人の直感的な感想の多くは、「タンクがデカい」じゃないでしょうか。
実際高さも幅もあり、R1250GS Adventureとそんなに変わらない大きさなのですが、エンジン側は大きくえぐられているので、容量はAdv.の30Lに対して21Lと、見た目からすると意外に少なめです(とはいえ通常のGSが20Lなので十分多い)。

むしろこの大きなタンクは、ライディングのために設計された機能的形状のようで、ドゥカティは以下のように解説しています。

機能的エルゴノミクス

ライダーが接触する表面は広く、互いに滑らかにつながっているため、とくにオフロード走行において、きわめて容易に、さまざまな方向にポジションを移動することができます。

Ducati

実際運転してみると、ひざを動かした時の凸凹や引っ掛かりがほとんどなく、ももからひざにかけて均等に力を加えることができるので、とても楽にしっかりとニーグリップすることができます。

さらに特筆すべきは、スタンディング時の安定感。
アンクルグリップをしっかりできるのはもちろん、前方に荷重を乗せる時も、脚の付け根からひざにかけて、タンクを包み込むようにホールドすることができ、その分腕にかかるテンションを減らせるので、上半身をフリーに動かすことができます。

その他の印象

すぐに“オフ車”を体感できるサスペンション

まだ舗装路を数十km走っただけなので、ポテンシャルは計り知れませんが、少なくとも普通の道路では最高の動きをしてくれます。
僕は体重が58kgなので、最初からリアショックのプリロードを最弱にしました。
オンロードバイクでは衝撃と共にハンドルが振れてしまうようなギャップでも、ほとんど吸収してくれてストレスなく走行できました。
まるで、以前乗っていたKTM 690 ENDURO Rのようで、やっぱり一般道でもオフ車は乗りやすいなぁと再認識。

コントローラブルなブレーキ

前後のABSの挙動をチェックしたところ、介入の不自然さは少なく、キックバックも短い間隔で弱く返ってくる仕様のようで、ABSが原因で怖い思いをするということはなさそうです。

それとリアブレーキの効きがかなりいいです。
ABSがカットされた状態で、効き具合を試してみました。
純正タイヤのグリップ限界が割と低いのですぐロックしてしまいますが、リアブレーキだけでもしっかり減速・停車できてコントロール性も高いです。

エンジンの粘りは良好

どれぐらいの負荷でエンストするかチェックしてみました。
1290SDRでは、エンジンがどの回転でもドコドコしていたので、エンストする瞬間を見極めにくく、時々不意にエンストしていました(内一回はそのまま立ち転け…)。
DesertXのエンジンは全体的に振動が少ないので、エンスト直前の荒い振動を掴みやすく、かつ極低回転でも意外と粘るので、発進時や極低速時にもあまり不安を感じずに済みそうです。

ずっと乗っていられるシート

もう、この言葉通りです。
幅広なのに脚を下ろした時にも角が痛くなく、固すぎず柔らかすぎない理想的なシート。
乗っている間シートのことを何も考えていなかったのが、その証拠だと思います。

悪いところが見当たらない

自分が惚れて買ったバイクなので贔屓目があるかもしれません。
だとしても、自分がこれまで乗ってきた大型バイク、BMW S1000R、KTM 1290 SUPER DUKE R、KTM 690 ENDURO Rと比較して、メインバイクとしての理想形に最も近いのは間違いないと感じています。

つまり、気軽に乗れる、楽しく乗れる、どこまでも乗れるってこと。
もちろん好きなデザインであることは言うまでもありません。

DesertXの日本仕様は2種類ある!まるで本国仕様なローンチエディションの見分け方

(2023/09/18:車台番号による見分け方を追記しました)

Ducatiディーラーに長崎で2台目のDesertXが入荷したとのことで見てきました。
しかしこれ、明らかにシート高が低いぞ??

ローンチ・エディションなる存在

調べてみると、実は日本仕様には2種類あるらしいです。
ひとつは、昨年9〜10月、デビューフェアに先駆けて全国ディーラーに自動出荷された、53台の「ローンチ・エディション」。
これが僕の車両。
そしてもうひとつが、それ以降の注文で随時出荷されている標準の日本仕様。

日本仕様はローダウンセット装着済みで、本国仕様のシート高875mmから-20mmの855mmになっているというのが、各メディアでも大きく紹介されている情報。
しかしローンチed.においては、日本仕様でありながらもスタンダードなサスペンションを装着しており、シート高は875mmのままのようです。

本国仕様でも両足ツンツンながらなんとか着いたし、オフ性能を重視したいのでむしろラッキーな誤算!

2種類の日本仕様の見分け方

ローダウンがいい人もいれば、本国仕様がいい人もいると思います。
これから店頭在庫車両を買う方のために、簡単に分かる見分け方を説明します。

見た目で見分ける

ローダウンセットの構成部品は以下の4点です。

  • フロントフォークのスプリング
  • リアショックアブソーバーのスプリング
  • サイドスタンド
  • ナット

この内パッと見で分かりやすいのがリアショック。
1枚目がローンチed.で2枚目が標準日本仕様です。


写真のように、標準日本仕様(ローダウン)のスプリングは不等ピッチ(プログレッシブとも呼ばれます)で、スイングアーム側の約2巻が密なピッチとなっています。

ライダーがまたがった1G状態では、バネレートが低い密巻き側から縮むことで足付きを確保し、走行時はピッチが広い方を中心にスプリングが伸縮することで、サスペンション性能を極力スポイルしないよう設計された、理想的なローダウンですね。
スプリング自由長やリンクの変更によるローダウンより、デメリットが少なくなっているのが素晴らしい。

車台番号で見分ける

それともうひとつ。
車台番号でも見分けることができます。
ドゥカティの車台番号は、イタリア生産の場合は「ZDM」から、タイ生産の場合は「ML」から始まります。
なのでパニガーレなどは前者、スクランブラーなどは後者の車台番号です。

そしてDesertXはというと、ローンチed.が前者、標準日本仕様が後者です。
つまりローンチed.のみイタリア生産であるという驚きの事実!
品質が同じでも、やっぱり本国生産と聞くと嬉しいものがあります。

スペアパーツ注文時は仕様を自己申告すべし

ローンチed.のスペアパーツをディーラーで注文する場合は注意が必要です。
というのも、「パーツリストを車台番号で検索すると年式間違いなどがない」というのがディーラー内の基本認識なのですが、ローンチed.の場合に限っては、ローダウン仕様のパーツ番号が表示されるという罠があるのです。
例えばサイドスタンドが壊れたからと素で注文すると、短いサイドスタンドが届いちゃいます。
あらかじめ「本国仕様の部品をください」と伝えておきましょう。

本国仕様と日本仕様の部品番号

資料として、仕様による部品番号の違いを残しておきます。

本国仕様
(STD)
日本仕様
(ローダウン)
フロントフォークスプリング96281981AA96281941AA
リアショックアブソーバーAssy36522091C36522241C
リアショックアブソーバースプリング96281971AA96281932AA
サイドスタンド55611291CA55611391AA

リアショックは、Assyが約30万円、スプリング単体が約4.5万円ですが、STDのスプリング単体は品番設定があるだけで注文はできないないようです。
なので、ローダウン仕様の車両を買って車高を上げたい場合は、STDのリアショックAssyを買うか、ハイアップセットを買う必要があります。

ちなみにハイアップセットは、日本を含めたアジア仕様向けのオプションなので、「本国仕様に戻す」という意味合いです。
本国仕様の875mmからさらに高くするオプションではない点には注意しましょう。

本国仕様向け
ローダウンセット
日本仕様向け
ハイアップセット
品番と金額96280932AA
60,738円
96280941AA
69,537円

不足部品を確認しておこう

余談ですが、僕のローンチed.には、本来あるべき部品が付いてきていませんでした。
それが、リアショックアブソーバーの下側エンドアイのカバーです。

ご覧のように、新しく届いた車両には最初から付いていました。

これについては、ディーラーのシステムで車両情報を確認すれば「不足部品を発注せよ」と表示されるのですが、メーカーからディーラーに積極的な通達は来ていないようです。
ディーラーによっては気付いていない場合も考えられるので、ローンチed.を買う際にはチェックしておきましょう。

DesertXの実車が写真の10倍カッコよかった話

去年の12月に「ドゥカティ・ワールド・プレミア2022」で発表され、その時から「めっちゃ好み!発売が楽しみ」と思っていたDesertXが、ついに最寄りディーラーに入荷してきました!

写真より実車がカッコいいっていうのは、ほとんどのバイクに当てはまりますが、このモデルは特にそれを感じました。
今回写真をいくつか載せますが、正直意味はないと思っています笑
ぜひ実車を見に行ってみてください!

スペックなどはこちら。
Ducati公式サイト
カタログ・諸元表・スペック情報 | バイクブロス

実車を見てきたよ

他メーカーのラリー系やアドベンチャー系、ムルティストラーダとは一線を画す唯一無二のデザイン。
往年のカジバ・エレファント900(ドゥカティのエンジンを搭載)を彷彿させます。
現代ではハスクバーナ・ノーデン901が排気量やホイールサイズでも近い存在だけど、あちらがコロンとしてる(あれも好き)のに対して、引き締まってグラマラスな印象を受けました。これぞドゥカティ。
※右側のナックルガードはまだ装着されていません

カッコいい横からのスタイルに加えて、正面がめちゃくちゃかわいい!
ヘッドライトに向かって細くなるシュラウド形状が、絶妙な小顔効果を生んでいて、近接した丸目二眼がより引き立っています。
スクランブラーのヘッドライトを2個並べたような意匠で、DRL作動時にはリングのみ点灯します。
ひと目見るなり愛着が湧いてきました。

跨がらせてもらいました。
シート高やポジションはオフ車そのもの。
身長174cmでの足着きは、足の指がしっかり着くぐらいで、オフ車に慣れていれば全然問題ないと思います。
車重は乾燥202kg、装備223kgと決して軽くはないのですが、体感は180kg前後ぐらいに感じるので驚きました。
ハンドルの切れ角が大きいので、狭い場所での切り返しもやりやすそうです。

この縦型インパネを早く操作してみたい!
マルチメディア機能はオプションですが絶対入れたいですね。
ドゥカティはハンドルスイッチ形状が車種によって大きく2種類あるのですが(ムルティV4は例外)、これは上等な方です。やった。

シートは厚みがありながらしっかりとした反発力で、長距離にもよさそうでした。
グラブバー(タンデムグリップ)は今どきなかなか見ない丸パイプ形状で、逆に新鮮、そしてかわいい。
サブフレーム一体型でしっかりしているので、林道で降りてケツ振り方向転換する時なんかにも活躍しそうです。

パワーユニットは937ccテスタストレッタ11°水冷Lツインエンジン。
新型モンスターやムルティストラーダV2などと同系エンジンですが、信頼性などがより改良されていて、ミッションのギア比は1~5速がオフロード用にハイギア化、6速が高速巡航用にローギア化されているらしいです。
しっかりしたスキッドプレートが最初から付いているのは嬉しい。

マフラーのデザインはすごく普通ですね。
音がよければ当面はそのままでもいいかな。
オプションでテルミニョーニが用意されているみたいです(車検NG?)。

足回りはオフロード走行を本気で重視していることが伺える、フロント21・リア18インチのワイヤースポークホイール。
トレール車やエンデューロではデファクトスタンダードなサイズですね。
BMWのR1250GSと同じく、スポークの頭がリム外側にありニップルがハブ側にある、画期的なチューブレスタイプです。

個人的胸熱ポイントは、キャリパーが以前乗っていた1290 SUPER DUKER R 2017と同じBrembo M50なところ!
現在のフラッグシップ(パニガーレV4、1290SDR 2020-など)にはBrembo Stylemaが採用されていますが、一世代前(1299パニガーレなど)に採用されていたのがこのM50でした。
性能はもちろん、デザインもマッシブな感じで好きだったので嬉しいです。

リアも同様にチューブレスタイプです。
タイヤはピレリ・スコーピオンラリーSTRを履いています。
ブロックパターンながらロードでのグリップも良好とのこと。
軽そうなスイングアームがカッコいい!

スプロケがすごい肉抜き!
ちゃんと巻き込み防止のスプロケガードが装着されています。
これがないバイクでオフに行くのはほんと怖いです。

前後サスペンションはオフロードで定評のあるカヤバ製。
プリロード、コンプレッションダンパー、リバウンドダンパーを調整できるフルアジャスタブルです。
プロモーションビデオのジャンプ見てると分かりますが、フロント230mm、リア220mmのストローク量は完全にオフ車ですね。

リアのプリロードはダイヤルを手で回すタイプ。
スプリングの色が一瞬オーリンズかなって思っちゃいます。

ラジエーターコアガードが最初から付いているはありがたいですね。
ですが、ホライゾンシリンダーのヘッドだけむき出しなのがすごく気になります。
社外でここのガードがあればすぐに装着したいです。

ステップはムルティストラーダとは違うワイド形状で、爪も最初からむき出しになっています。
スタンディングでも安定して疲れにくそうです。
ブレーキペダルはワンタッチで高さを二段階に変更できる構造。
この辺がほんとオフって感じで好きです。

オフ好きなら食わず嫌いせず見てほしい

世はアドベンチャーブームで、外車を筆頭に、国産車にも250ccから大型まで様々なアドベンチャーモデルが増えていますよね。
DesertXはその流れとは違う純粋なオフロードモデルであり、まさに「ビッグオフ」だと感じました。
要はアフリカツインやテネレと同じ系統ですね。
なのでオフ好きな人にはぜひ実車を見て欲しいし、実際のオフ走行には興味がない人は、KTM Adventure系やムルティストラーダなどのアドベンチャーモデルを買った方が幸せになれると思います。

僕は元々エンデューロ系のモデルが一番好きで、アドベンチャー系やラリー系にはあまり興味がなく、デザインも正直「かっこいい!」って思うことが少なかったんです。
ですがこのモデルは、かわいさも相まってかストレートに刺さりました。
久々に本気で欲しくなった現行モデルなので、所有している複数台を整理できたら乗り換えたいと考えています。

ドゥカティのパターンとして、STDモデル発売の翌年頃に早速マイナーチェンジか、サスペンションにオーリンズを採用した「Sモデル」が発売されるのがお決まりとなっています。
DesertXも例に漏れない可能性がありますが、買いたくても車両が入荷してこないご時世なので、目の前にあるものに食らいつかないと欲しいものは手に入りませんから。